コーチングとは、クライアントの自発的行動を促進する対話により、その目標達成や問題の解決のサポート、ひいてはクライエント自身の本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション手法のことをいいます。スポーツにおけるコーチングから派生し、現在はビジネスの分野を中心に人材育成や能力開発の手段としても発展しています。

ゆえに、コーチングでは、教える、アドバイスする、といったことをする代わりに、対話を通して、クライエントから様々な考え方や行動の選択肢を引き出します。コーチングによって引き出されるとされているのは、例えば以下のようなものです。

もともとコーチングは、「コーチ (Coach)」という、ひと昔まえの「馬車」を語源とする言葉から派生したものです。その時代の「大切な人を望む場所まで送り届ける」という役割を担った「コーチ (Coach)」から派生し、現在では「人の目標達成を支援する」という意味で、コーチングが使われるようになっています。

これに類似する言葉として、ティーチングがあります。一般にティーチングは、親・先生・管理職などの立場にある者が、子・生徒・部下などを豊かな知識や経験に基づき、目標達成へと導くための指導方法です。

一方、コーチングでは、ティーチングのように答えを与えることは行わず、あくまで自分自身の気付きに重きを置いて目標達成をサポートします。この考え方は「答えはその人の中にある」というコーチングの原則に基づいています。

しかし、クライエントの本質的な変化への道のりは平坦ではなく、ホメオスタシス（無意識に古い慣れ親しんだ習慣ややり方に戻ってしまう）、スランプ（期待していたほどのスピードで変化が起きないと感じたときにモチベーションが冷める）、サボタージュ（変化に対する恐れから生じる自己制限的な思考が優位となる心理的な働き）といった障壁が必ずどこかに待ち受けています。

こうした障壁を乗り越えるのは、クライエントとコーチとの間の揺るぎない信頼関係であり、両者の関係は、以下の『4つの礎』と呼ばれるコーチング・モデルの土台によって支えられます。

コーチングの核心は、人々が自らの答えを見つけ、人生に豊かさと変化をもたらすような選択を繰り返すことによって、自らの道を歩むことができるよう、効果的にサポートするところにあります。